抗生剤を飲みきるのはどうして?途中で飲むのをしちゃいけない理由(薬剤師監修)
抗生剤が処方された時、症状が治っても日数分、最後まで飲んで下さいね。
そう言われる事があるかと思います。
症状が良くなってるから飲まなくてもいいのでは? 症状が治っても飲み切らなければいけないのにはちゃんとした理由があるんです。
抗生剤を飲みきるのには理由がある
抗生剤を飲みきらないとその抗生剤が効かなくなってしまう事があるからです。
この事を耐性がつくと言います。
そもそも抗生剤と言われている薬は主に3種類あります。
・菌を殺す抗菌薬
・原虫を殺す抗原虫薬
・真菌を殺す抗真菌薬
人の身体に悪さをする微生物をやっつける薬と思って頂けたら大丈夫です。
また微生物とウィルスは厳密には別モノです。
微生物の定義に当てはまらないモノをウィルスと呼びます。
(専門的に言うと生物の条件に当てはまらない非生物をウィルスと言います)
わかりやすい様にウィルスをやっつける抗ウィルス薬を抗生剤です〜という事もあります。
ここでは抗ウィルス剤も抗生剤と同じと考えて下さい。
抗生剤は主に悪さをする奴らを殺したり押さえ込んだりします。
その方法は様々です。
・増殖を抑える。
・直接、殺す。
・体内からいなくなるまでパワーを押さえつける。
・体内の免疫系をパワーアップ、または誘導して殺してもらう。
などがあります。
当然、悪さをする奴らも生き残る為に対抗措置をとってきます。
・薬が効かなくなる様にバージョンアップする。
・薬が元々、効かない。
・症状が出るまで何年、何十年も潜伏する。
抗生剤を飲み切らなければならないのには「薬が効かなくなる様にバージョンアップする」が関係しています。
抗生剤が処方される時、その抗生剤が悪さをする奴らが全滅する日数+予備の日数で出ます。
一回で全滅出来れば問題ないのですが身体全身に悪さをする奴らがいると時間がかかってしまいます。
途中で抗生剤を飲むのをやめると全滅せずに生き残る奴らが出てきます。
この生き残りが次に備えて抗生剤に対して対抗措置を取る様になる時があります。
これが「薬が効かなくなる様にバージョンアップする」=耐性を持つという事になります。
同じ病気になった時、症状を見てお医者さんは犯人はこいつだ!ならこの抗生剤だ!と抗生剤を処方します。
しかし、その抗生剤に耐性を持つと抗生剤は効かなくなってしまうのです。
抗生剤が発見されて何十年と経ちましたがこの耐性が出る事で何度も抗生剤は新しい物が作られてきました。
そしてその新しい抗生剤に耐性をもつモノも現れてきています。
いたちごっこが続いてるのです。
特に病院内では抗生剤がよく使われる為、耐性をもつモノが生まれやすい環境になっています。
病院内ではこの耐性した奴らが大暴れして大規模な感染を引き起こし、死者まで出る事が度々あります
その為、入院中の高齢の患者さんや治療で免疫が低下している患者さんには命を脅かす危険な事なのです。
抗生剤を飲むのを止めてもいい時はあるの?
もちろんあります。 薬の副作用が出てしまう時です。
抗生剤で出やすい副作用は湿疹や蕁麻疹、下痢などです。
抗生剤は特にアレルギー反応が出やすい事があります。
湿疹や蕁麻疹などの皮膚症状が現れやすいです。
また抗生剤は腸内の善玉菌、悪玉菌を根こそぎ殺してしまう事もあるので、腸内に菌がいなくなると下痢が起こりやすい状態になります。
これら以外にも抗生剤には薬ごとに特徴的な副作用があったりします。
それらは薬が処方される時にお医者さんや薬剤師が必ず説明するので覚えておくべきです。
また、抗生剤を飲んで体調がすぐれない時は直ぐに病院にかかるべきです。
まとめ
抗生剤は途中で飲むのを止めると悪さをする奴らはパワーアップして戻ってくる事があります。
パワーアップする事で悪さをする奴らに対抗出来る手段が無くなり、奴らにやられちゃう事があります。
最近は耐性のついたインフルエンザウィルスや結核菌、効果的な抗生剤が全くない菌が頻発しています。
その為、抗生剤は必ず、医師の指示通りに飲んで下さい。
抗生剤を飲んで体調が悪くなってしまった時は抗生剤の副作用の可能性もあるのでその時は服用を中止し病院にかかるようにしてください。